桧のエッセンシャルオイルは、私にとって精油抽出ビジネスを始めるきっかけになった特別なオイルです。
日本において桧は、福島県東南部から本州、四国、九州に広く分布しています。特に高知県は森林率が84%と日本一を誇り、ヒノキの名産地として知られています。
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その高知県に、かつて桧の葉を使用したエッセンシャルオイルを作る会社がありました。
その会社は、高知県の中土佐町という山間部に位置し、周囲には良質な桧の森が広がる環境にありました。
初めて香りを嗅いだ瞬間、すーっと心が軽くなり、驚くほど穏やかな気持ちになったのを覚えています。
当時、私は40代半ば。働き盛りの年齢でしたが、仕事の合間に家事をこなし、家庭と仕事の両立に追われる日々に心身ともに疲れていた時期でした。そんな中で感じた、太陽の光を蓄えた木々の力、人に与える自然の恵みの偉大さ。
その香りがもたらす癒しの力に、私は心から魅了されたのです。
また、東京など都市部へ出張に行くと、物資や文化の豊かさに心が躍るものの、人の多さや喧騒に疲れてしまいグッタリします。出張から帰るたびに、娘から「お母さん、東京に行くと5歳くらい老けて帰ってくるよね」と言われることさえありました(苦笑)
そんな私にとって、何よりの特効薬は高知の自然。
もともと山が大好きで、四国の山々をドライブしたり、登山をして澄んだ空気を味わったりすることで、心身ともに癒され、心が落ち着く感覚を持っていました。
木材を素材とする「もくめん」を扱う夫と結婚し、戸田商行の経営に関わるようになったのも、もしかすると偶然ではなく必然かも思うことがあるのは、そんな理由から。
木材置き場の木を眺めたり、山の景色を眺めたり、仁淀川の清流を見たりするだけで、不思議と元気が戻ってきます。
そして、桧のエッセンシャルオイルも力を貸してくれました。
私は、同じように日常生活に疲れを感じている人、都会で暮らし自然に触れたいと願っている人にオイルを届けたいと思うようになり、その会社から桧の葉のエッセンシャルオイルを仕入れて販売するようになりました。
その後、その会社が廃業したこともあり、私は自分のブランドMICILを立ち上げたとき、迷わず桧の葉を使用したエッセンシャルオイルの開発に着手しました。
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製造部長とは話し合いを重ね、クリアで爽やかな桧の香りを求めて、葉の選別や洗浄、形状など様々に変化させながら、何度も何度もテスト蒸留を繰り返し試作を重ねて【MICIL】の香りを追求する日々。
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葉だけではなく少しだけ枝を入れた香りも試作。
その結果、シャープで爽やかでありながら、暖かさも感じる思い通りの香りが完成しました。
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このエッセンシャルオイルは、私にとって単なる製品ではなく、自然の恵みを体感する大切な存在でもあります。
ただ心地よいだけでなく、深く呼吸を促し、まるで森の中にいるかのような安らぎをもたらすもの。
忙しい日々の中で、ふと桧の香りを吸い込むと、澄んだ森の空気が心と体に広がり、肩の力がすっと抜けていく感覚。都会の喧騒の中でも、自然とつながるひとときを生み出し、ストレスを和らげる手助けをしてくれる——そんな力を持つ香り。
私の場合、タスクに追われて「キー」となった時(笑)瓶に入ったままの桧の香りを思い切り吸い込んでいます。一瞬のことでも気分が切り替わり、気持ちを切り替えるきっかけになっています。
桧の香りが、誰かの日常にそっと寄り添い、癒しや活力をもたらしてくれることを願って、これからも心に届く香りを届けていきたいと想います。
有限会社戸田商行
代表取締役 戸田実知子