肩に力が入った内容になりそうな予感がしますが、お付き合い頂けましたら幸いです。
商品における「価値」には、機能的な価値と情緒的な価値があります。両面において、作り手の独りよがりにならず、お客様のニーズにお応えするものでなくてはならないと心してはおります。
もくめんの機能的な価値については、緩衝材として商品を衝撃から守る弾力性、果物や生鮮食品の湿度を調節する調湿性、100%自然物であることの安全性が挙げられます。
また、本物の木材から作り出される高級感、あたたかさ。科学性の商品とは違う良さがそこにはあります。
では、もくめんの情緒的価値は何か。
そのことをずっと考えていました。そんな時に工場見学にお越し下さったお客様が口々におっしゃる「もくめんて、とてもきれいですね」「もくめんは美しい商品ですね」という言葉。
その言葉にハッとしました。
脇役であり、また役割りが終わると処分されてしまう緩衝材でありながら、原木から仕入れた木材を丁寧に削り、造りあげていく木毛(もくめん)。
確かに美しい…
アメリカやヨーロッパで作られたもくめんを目にしたことがありますが、日本のものよりかなり荒削りです。ワイルドな味わいはありますが、繊細さはなく、もの作りに対する姿勢に大きな違いを感じました。
翻って、日本で昔から伝わる天然物を利用した包装材には、木の桶や樽、箱や径木(ギョウギ)などがありますが、改めてそのものたちを見た時、どれもとても美しい事に気がつきます。
包まれる中身の価値は関係なく、そう作らずにはいられなかった丁寧な仕事。
日本の伝統包材、そしてもくめんには、日本人のもの作りの魂が込められているのではないかと、思い至りました。
【大切なものを紡ぎ、守る】
贈り物とともに歩んできた木毛。
山々に囲まれた土佐の地で、仲間たちと共に、モノづくりを大切にしてきた。
素材の良さ、土佐の木々の力、それらが込められた木毛は、作り手の想いも重なり特別な素材として輝きを放つ。
初めて目にした人が口にする木毛の美しさ。
ささやかなその存在に注ぎ込まれる情熱は、日本人の美への価値観、自然観を表す。
美への理念、そのように作らずにはいられなかった。
ものを贈るということは心を贈ること。
その傍らに寄り添う木毛。
いまこの時代に考える、きわめて大切なこと。
私たちは、木毛が発する豊かな啓示、それらに謙虚に耳を傾けながらも、かけがえのない存在として紡いでいく。
肩に力を入れまくりで作った、もくめんのボディコピーです。先人達も喜んでくれたらいいな(笑)