木毛(もくめん)の始まりは、明治時代、岡山の大工さんが、明治天皇に献上する果物に使用したことが始まりと言われています。
昭和40年代、日本には120社程度の木毛業者があったそうですが、当時から、木毛の原材料は全国共通で「赤松」でした。
赤松(アカマツ)
あきた森づくり活動サポートセンタ
日当たりの良い尾根筋によく見られる陽樹。樹皮は赤く、古くなると亀甲状に割れる。松は、アカマツとクロマツの総称で、縁起の良い木の代表である。それは、松が長生きで、一年中、青々とした緑を保ち続けることから、節操、長寿、繁茂などにたとえられるからである。アカマツの生育地は内陸部、クロマツは海岸部と、生育地をすみ分けている。アカマツは、秋の味覚の王様であるマツタケがとれることで有名である。
松の木毛です。
高知県産のアカマツは成長が早く、年輪と年輪の幅が広いため、もくめん作りに適しており、高知県産のアカマツからは上質な木毛を作ることができます。
アカマツは香りも少なく、木は吸湿・放湿効果が優れていることから、特に果物類と相性がよく、またその他の食品類、瓶や陶器類など、様々なモノを包む素材として、古くからお使い頂いてまいりました。
木毛は弾力性にも優れており、スイカやハロウィン用の巨大かぼちゃなど、重量のあるお品物もしっかりとホールドし、生分解性の天然物でありながら、緩衝性にも優れいるのが特徴です。
外国にも木毛は存在しますが、もっと粗削りで、ワイルドです。日本の木毛は、細く、しなやかで、日本人の繊細なものづくりの心を表す、美しい製品だと思っております。
当社が製造している木毛の樹種は、他にも、土佐桧、楠、杉と全4種類ございます。
土佐桧(トサヒノキ)
寒暖差が大きく多雨の環境で育つ、しなやかで美しく脂の多い国産材・土佐桧
国産材総合情報館
森林率84%と日本一の森林県である高知県は、杉の産出とともに、桧の人工林面積でも日本一を誇ります。その品質においても、木曽、東濃、吉野などと並ぶ名産地として評価される国産材を産出します。
熱に強く、耐水性、耐久性に優れ、殺菌作用も高いことから、建築材の他に、風呂材やすのこ、まな板などにも利用されています。
土佐桧の木毛です。
日本人は桧の香りがお好きな方が多く、香りも伴った高付加価値の素材として、近年人気です。 また、土佐桧の木毛は、松と比較した場合、赤みが多く、写真上部のように、クルクルとしたカールが特徴。
赤みが特徴の土佐桧で造った家具は、赤さと白さのコントラストが評価されている桧の木毛は、緩衝材以外にも、アロマシートなどのアロマグッズにも利用しています。
楠(クスノキ)
楠の葉をちぎると、ツンとする樟脳の香りがします。楠は独特の芳香を持つことから「臭し(くすし)」が語源、また、クスノキの葉や煙は、防虫剤や鎮痛剤として用いられ、「薬の木」を語源とする説もあります。楠材は防虫効果から家具や仏像などにも広く使われてきました。
森林・林業学習館
これが楠の木毛です。
楠は防虫効果がある樟脳の原材料として有名ですが、メントールのような爽やかな香りが特徴で、消臭効果も高いことから、シューズキーパーの原材料として製造しています。
お客様が当社を訪問された際に、「木の香りが凄いですね~」とおっしゃって下さいますが、私達は木の香りに鼻が慣れきっており、ほとんど香りを感じません。赤松や土佐桧を削っていても、香りを意識することはありませんが、楠だけは違っていて、製造工場から離れたところにいても「今日は楠を削っている」と分かるほど、香りが強烈です。
軽い鼻づまりなら、すぐに回復するほど、効能の高い木材です。
杉(スギ)
本州、四国、九州に分布する日本の代表的な樹種の一つです。最近では、天然産のものは少なくなり、ほとんどが人口造林されたものです。建築材や天井板、家具、包装、下駄、割り箸、造船など用途範囲が広い木材です。古代の住居跡から、かなり大量の杉が発見されることが多く、いかに古くからわれわれの生活に結びついていたかが分かり、いわば、日本の代表ともいえる木材です。
木net
杉の木毛は、山の法面の保護と、緑化に用いる土木資材、植生シートの原材料としてお使い頂いています。
樹種それぞれの効果効能や、特徴を生かしながら、軽量で形を自在に変更できる木毛は、様々な用途にお使いいただける、可能性ある素材です。
本日は、原材料のご紹介でした。